皆さんは、浄土真宗の正しい仏壇じまいについてご存知でしょうか?
私は浄土真宗ですが、先日実家にあった仏壇じまいを行ってきました。
先祖代々続く浄土真宗としての仏壇じまいがどういった手順だったのかをお話し致します。
本記事をお読みいただくことで、浄土真宗の仏壇じまいの方法が分かるようになります。やるべき事とやらなくてもいい事の区別ができるようになります。また、どれくらいのお布施代が掛かるのかを理解できるので、あなたに合った仏壇じまいを見つけることができるでしょう。
浄土真宗の仏壇じまいをお考えの方は是非ご参考ください。
本記事で伝えたいポイントを先取り
- 浄土真宗は仏壇に遷仏法要と呼ばれる特別な法要が必要
- お布施の相場感は3〜5万円、お車代は1万円ほど
- 浄土真宗の教えはシンプル!南無阿弥陀仏を唱えていれば誰でも極楽浄土に行ける
- 仏壇じまいの依頼先はお寺、仏壇専門会社、遺品整理業者、不用品回収業者、不動産会社の5つ
- 仏壇じまいをする前に親兄弟、親戚と必ず相談したうえで決める
浄土真宗は本来仏壇への供養が不要!?
仏壇に魂は宿っていない
仏教の考え方としてお仏壇には魂が宿っているとされております。ですから、お仏壇じまいをする際は、ご住職さまに魂抜きと言いまして、お仏壇及び本尊(掛け軸)に対しての法要を行って頂きます。そして、入ってる魂を抜いてもらう必要があります。
しかし、浄土真宗は他の宗派とは異なり、お仏壇には魂が宿っていないとされています。何故、浄土真宗だけ考え方が違うのか気になるところですが、その点は2.浄土真宗の宗教的に考え方で詳しくご説明しております。
ですから、現時点では仏壇に魂は宿っていないということを理解頂ければ大丈夫です。
魂抜きではなく遷仏法要
では、浄土真宗である自分は、仏壇じまいをする際に何もせず処分してしまっていいのか?と思われるかもしれませんが、そうではございません。
浄土真宗の考え方にあります、遷仏法要(遷座法要)と呼ばれるご供養方法によってお仏壇じまいを致します。
遷仏法要とは、仏様が宿ったご本尊、お仏壇などに対して、一時的に元の単なる造作物に戻す法要となります。
そのため、本来はお仏壇やご本尊を修復するために移動させる際や、家を引越しする時などに行うのが一般的でした。
ただ、こちらの遷仏法要は、お仏壇の処分を考えている方にも同様に行って頂くことになります。そのため、お仏壇じまいをする際は、浄土真宗のご住職さまをお招きして遷仏法要して頂くのを忘れないようにしましょう。
お布施代の相場感
浄土真宗のご住職さまをご自宅に招いて遷仏法要をして頂く際のお布施については、相場感として3〜5万円と言われております。
その他、遠方からお越しであればお車代も合わせて必要になるでしょう。お車代は概ね1万円くらいのようです。
現在は、ご住職さまを派遣するサービスもございます。檀家のお寺がなく、依頼したくてもできないということであれば、検索「お坊さん 派遣」で調べて頂き、そのようなサービスを利用されるのもよろしいかと思います。
お布施はよくお気持ち次第と言われます。しかし、長い年月を共に過ごされたお仏壇の最後となりますので、回忌法要の際にお渡しするお布施よりも割高になるのが一般的です。
2.浄土真宗の宗教的な考え方
浄土真宗の成り立ち
それでは、これより浄土真宗に関するお話をいたしますが、仏壇じまいとはあまり関係ありません。そのため、仏壇じまいの続きは、3.仏壇じまいの依頼を誰にすれば良いか?から引き続きお読みください。
しかし、ご先祖様が長年信奉されてきた浄土真宗という仏教において、圧倒的に一番信奉している人が多いと言われる所以を少しでもお分かり頂ければ幸いです。
浄土真宗の成り立ちは、鎌倉時代まで遡ります。開祖は親鸞と呼ばれる方であり、当時は天台宗が多数派でありましたが、権威化により社会的に腐敗していく世の中で、新たに別の宗派を広めるべく立ち上げたのが親鸞です。
その勢力は親鸞死後、どんどん拡大していき、戦国武将が納める各国と同等の力をつけ、各地で一向一揆が起こります。
※一向一揆とは権力に対する抵抗運動のこと
こうして、現代まで続く仏教の最大勢力へと昇りつめていきました。
誰もが極楽浄土に行ける
そんな浄土真宗は現在大きく10派に分かれ、有名なものに東本願寺や西本願寺があります。複数の派に分かれますが、根本的な教えは同じです、
「阿弥陀如来を信じ、南無阿弥陀仏と唱えていれば皆が極楽浄土に行くことができる」
分かりやすさを極めた浄土真宗だからこそ、庶民に支援され信奉する人をどんどん増やしていきました。
位牌がない理由
誰もが極楽浄土に行けると考える浄土真宗ですから、戒律と呼ばれる守るべき規律がありません。そのため、一般的に人が亡くなってから授けられる戒名もありません。
(浄土真宗の場合、法名と言います)
あくまで拝むべき対象は阿弥陀如来であり、亡くなってしまったら極楽浄土に行けると信じられています。
位牌とは亡くなった方の魂が宿る依り代としてございます。そのため、お寺さまより戒名を与えられ、極楽浄土に行くまでの修行期間を現世で過ごすためのものです。
ですから、戒律を守り修行の必要ない浄土真宗にはお位牌がないということです。
3.仏壇じまいを誰に依頼すれば良いか?
浄土真宗の理解が進んだところで、具体的に仏壇じまいの依頼先について考えてみたいと思います。仏壇じまいを依頼する先として大きく5つの候補がございます。1つ1つ見ていきましょう。
1. 檀家のお寺、もしくは最寄りのお寺
まず最初はお寺さまに依頼するパターンです。檀家に入っているお寺さまがあれば、そこにご依頼するのがいいでしょう。
檀家に入っていない場合は、お坊さん派遣サービスを利用しましょう。近くのお寺さまを紹介してもらうことができます。
もし、檀家のお寺さまがありながら、何かの事情で別のお寺さまに依頼するのは、ルール違反とまではいきませんが、極力しない方がいいと思います。
また、お寺さまによっては、檀家さんを荒らしたことにもなりかねず、世間体が悪くなってしまうことを恐れて依頼を拒否されるお寺さまもおられますので注意してください。
2.仏壇じまい専門の会社
続いて2つ目のパターンは、仏壇じまい専門の会社に依頼する方法です。私も現在勤務中ですが、専門なだけによく仏壇について理解が深い方が多い印象です。
お寺さまの手配からお仏壇を回収することまでをまとめて依頼できるところが良い点だと思います。
遷仏法要は檀家のお寺さまに依頼をして、仏壇の回収に来てもらうだけの依頼も対応してくれますので、ご自身に合った依頼方法が可能なのも良い点でしょう。
3.遺品整理業者
3つ目のパターンは遺品整理業者な依頼する方法です。遺品整理業者は全国に沢山あるため、その選定が難しいかもしれませんが、良い業者さんであれば、丁寧に対応してもらえるでしょう。
何より、家にある要らなくなった家電や家具なども一緒に引き取ってくれます。仏壇だけではなく家のものもまとめて依頼したいという場合は金額がお得になるかもしれません。
しかし、ご注意頂きたい点は、お寺さまの手配ができない業者が多く、仏壇じまいではなく単なる処分として扱われる可能性があるということです。
ですから、十分事前に話を聞いておかなければいけませんね。
4.不用品回収業者
4つ目のパターンは不用品回収業者への依頼です。遺品整理業者よりも安価に対応してもらえる可能性が高い反面、仏壇が不用品回収として処理されてしまう危険もあります。
また、お寺さまを手配できる業者はほとんどいません。ですから、ご自身で手配する必要がありますが、家電や家具と合わせて一緒に処分を検討している方には料金を抑えられるのではないでしょうか。
私としては、あまり不用品回収業者への依頼はオススメしておりません。その理由は、お仏壇を粗末に扱われる可能性がどうしても高いためです。
お仏壇は最後まで丁寧に扱って処分頂きたいと思っています。
5.不動産会社
最後は不動産会社に依頼する場合です。お仏壇じまいをされる方の中には、仏壇が置いてある家の売却も一緒に進めていることがあります。
不動産産会社に依頼すれば家の売却から不用品の回収、仏壇の処理まで全て対応してもらえる会社もありますから大変ラクではないでしょうか。
しかし、依頼する場合は事前に確認が必要で、不動産会社自体がお仏壇じまいを行うことは基本的になく、不用品会社などに委託することが多いようです。
そのため、どんな業者に仏壇じまいを依頼されるのかについては確認しておきましょう。
以上がお仏壇じまいを依頼する先として候補となる依頼先です。ご自身に合った依頼先を選びながらも、最後の仏壇じまいをしっかりご供養と共に適切に処理頂くことを願っております。
4.仏壇じまいをするまでの手順
依頼先の検討が済んだら、実際に仏壇じまいをしていくための進め方を最後お話いたします。
親兄弟、親戚に仏壇じまいすることを報告する
まず、なんといってもお仏壇じまいすることを親兄弟、親戚に報告しなければいけません。私が仏壇じまいに携わってきてお客様が揉める1番の原因が報告を怠ったことによるものです。
勝手に自分の判断だけで仏壇じまいをすると、後から揉め事に発展するケースが非常に多く、それが原因となり、場合によっては絶縁してしまうこともあります。
仏壇は、長い間ご先祖様をお祀りしてきたものになりますから、その仏壇に対する個人の気持ちや考え方は千差万別であります。だから、仏壇じまいをする前に、しっかり話し合いを済ませ、どういった形で処理するかを決めたうえで行うようにしましょう。
浄土真宗のご住職に遷座法要をしていただく
親兄弟、親戚との話し合いが済んだら、お寺さまに遷仏法要の依頼をしましょう。お寺さまの選び方については先程からお伝えしている通りです。
1つ付け加えるとしましたら、「浄土真宗の中でも何派に当たるのか」を確認頂き、相応しいお寺さまにご供養頂くようにしましょう。
適した方法にて処分する
遷仏法要が終わりましたら、お仏壇を引き取ってもらえる会社に依頼をします。依頼先は先程の5つが候補となりますので、丁寧に扱ってもらえるかどうか、予算に合うかなどに注意して依頼してください。
仏壇じまいが終わりましたら、心が晴れやかになり、心のモヤモヤも無くなりスッキリすることでしょう。
5.浄土真宗として相応しい仏壇じまいをしましょう
いかがでしたか?浄土真宗の仏壇じまいについて理解いただけたでしょうか。
仏壇の最後の処理になりますから、ぜひいろいろ話し合ってご決断いただきたいと思います。
皆さんにとって仏壇じまいが少しでも意義あるものになりましたら幸いです。
コメント
こんにちは、これはコメントです。
コメントの承認、編集、削除を始めるにはダッシュボードの「コメント」画面にアクセスしてください。
コメントのアバターは「Gravatar」から取得されます。