(解説)【必読】仏壇じまいをした後の位牌の取り扱い方、注意してもらいたい点

位牌のイラスト 仏壇じまい

仏壇じまいを済ませた後、残っているお位牌をどうしたらいいか?と疑問に思ったことはないでしょうか。

お仏壇とお位牌はそれぞれ異なる役割を担っていますので、別々の対応が必要になって参ります。

お位牌の取り扱い方を理解しておかなければ、きたる仏壇じまいの際に、誤った方法にてお位牌を処分してしまう可能性があります。ご注意くださいませ。

本記事では仏壇じまいを済ませた後のお位牌についてご説明させて頂きます。

本記事で伝えたいポイントを先取り

  1. お位牌は故人の魂が宿ったしろになります
  2. 仏教では故人の魂が宿った位牌より仏壇の方がより大切と考えらえています
  3. お位牌の正式なご供養方法は、とむらげ→魂抜き→お焚き上げという明確な順番があります
  4. お位牌の永代供養があり、自分では見れないお位牌を預けることができます
  5. お位牌の供養をご依頼できる先は、お寺さま、位牌供養専門会社、仏壇店の3選

位牌について理解しよう!

位牌のイラスト

位牌は故人の魂が宿った依り代よ しろ

まずお位牌の役割についてご説明致します。お位牌は、亡くなられた方の魂を入れておく依り代となります。依り代とは、魂が乗り移る物体のことを言います。一般的に、魂はどこにあるのか目に見えるものではありません。そのため、魂が宿っている「モノ」として偶像化し、拝めるモノを作ったのがはじまりとなります。

そして、お位牌は魂が宿っていると信じて、それを故人として拝み続ける対象になったのでした。ですから、お位牌は故人の魂が宿ったモノとして在り続けています。

因みに、浄土真宗という宗派においては、お位牌を作る文化がありません。なぜ作らないことになっているのかという理由については、また別の機会にお話ししたいと思います。

位牌と仏壇の違い

お位牌がどういったものかを簡単にですがご理解いただけたら、続いてお仏壇との違いについてご説明します。

お位牌は故人の魂が宿った偶像化された依り代というご説明でしたが、お仏壇はどうでしょうか。お仏壇は本尊ほんぞんまつる場所として存在致します。ご本尊とは、端的に申して宗派ごとに一番大切にしている仏様というイメージを持って頂ければ構いません。仏様を御守りする家のような存在と言われています。

そのため、本来、お仏壇はお位牌を御守りするものではなく、ご本尊を御守りするモノとなります。しかし、近年、ご本尊や仏様という概念や感覚が薄れてきていると言われています。そこで、近年の考え方としては、お仏壇はお位牌(ご先祖様)を御守りするお家と捉えて大切にする考え方が主流になりつつあります。

整理致しますと、お位牌はご先祖様の魂が宿るモノ、お仏壇は、ご本尊もしくはお位牌を御守りするお家とお考え下さいませ。

位牌と仏壇のどちらが大切か?

それぞれの役割についてご確認頂けたところで、お位牌とお仏壇のどちらがより大切なモノにあたるのか、を考えたいと思います。どちらも大切なモノに変わりはありませんが、仏教上の考え方をした際にどうなるかが大切になります。

お答えとしては、お位牌よりもお仏壇の方が大切なモノと考えられています。理由は、各宗派すべてにおいて、ご本尊をお祀りすることが求められているからとなります。お仏壇を購入された際に掛け軸もしくはお仏像も一緒にご購入され、ご住職さまにお魂を入れて頂いたかと思います。

それをお祀り頂いて、合わせてお位牌も置きましてお祈りするという流れとなっております。

位牌のご供養方法の種類

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弔い上げという考え方

お位牌における役割を一通りご覧頂いたところで、本記事の本題になりますお位牌の取り扱い方についてご説明いたします。

お位牌は大きく3つの作法に則りましてご供養するのが基本となります。尚、この3つのご供養について、正しく記載されている記事があまり拝見できないため、是非ご参考頂ければと思います。

まず、弔い上げについてのお話です。弔い上げとは、一般的に三十三回忌をもってお位牌の上げ法要、つまり、回忌法要を終わらせることを指しています。どなたかが亡くなられた際にお位牌を創りまして、一回忌、三回忌、七回忌と回忌法要かいきほうようを重ねます。そして、三十三回忌ないし五十回忌を区切りとして弔い上げをいたします。

弔い上げをする主な理由は、戒名を授かった故人の魂が、現世で修業を積み極楽浄土に行くまでの期間が終了したことを証明するためと言われています。そうなんです。人は亡くなれば、すぐに極楽浄土に行けるわけではなく、33年間という期間を現世で修業をしなくてはなりません。

三十三回忌を行わずして、お位牌を処分される方がおりますが、それは故人が極楽浄土に行けないということと同じになってしまいます。ですから、お位牌をお創りになったのなら、三十三回忌まで回忌法要を続けてあげてください。そして、極楽浄土に行ける修行を終えてから弔い上げをして頂くのが、まず正しいご供養の1つ目となります。

魂抜きという考え方

続いて2つ目のご供養方法となります、魂抜きについてお話します。

弔い上げを行い、故人さまが極楽浄土に行くための準備が整ったところで、そのお魂を位牌から抜いて上げ、天に還して差し上げます。そうすることで無事に故人さまは極楽浄土に向かい、安らかに過ごされます。

お仏壇においても魂抜きという概念がありますので、こちらの方は皆様もお聞きしたことが多いのではないでしょうか。

万が一、弔い上げが終わっていないのに魂抜きだけをするとなれば、その魂は十分な修行を終えられずに天に還されてしまうため、極楽浄土には行けずに、どこかを彷徨うことにもなりかねません。しっかり順番に則った正しいご供養をして頂きたいと思います。

しかし、実際に私がお仏壇じまいをお手伝いする中で、この弔い上げをせずしてお位牌を処理しようと考えている方が非常に多いようです。弔い上げをご存知ない方が沢山おられるのは、時が移るにつれ、お位牌を何十年も置いておく文化が廃れてきているのかもしれません。

そのため、一回忌や三回忌を終えたらお位牌は供養をして処分される方が増えている印象です。

故人様のお気持ちを考えるのであれば、是非とも弔い上げ及び魂抜きという順番でご供養を頂きたいものです。

お焚き上げという考え方

そして、最後はお位牌をお焚き上げいたします。神社などでも、神棚やお札などを火にくべる焚き上げを行っている所が沢山あります。お寺さんでも同様に、魂が抜けたお位牌を焚き上げることで、最後のご供養としております。

これまた、魂抜きをせずしてお焚き上げをしてしまってはいけません。なぜなら、故人様の魂がお位牌に宿ったまま、火にかけることになるからです。お魂はしっかり天に還して成仏をしたあとで、その依り代だったお位牌を焚き上げる。これが、正しいご供養方法となります。

以上のような3つの流れに沿って、お位牌のご供養を執り行って参ります。

すべての流れでご住職様による読経を含めたご供養が必要になりますので、当然お布施代もそれだけ必要となって参ります。お伝えした正式なご供養を実際にして頂きたいとは思いますが、大切なことはお金をかけることではありません。

大切なことは、ご先祖さまや故人さまをどこまで思い、お気持ちを示されるか、ということになります。 

正しいご供養方法を理解頂きまして、皆様ができる限りのご供養に努めていただけましたら幸いです。

位牌の永代供養

そして、最後はお位牌の永代供養についてのお話になります。先ほどからお伝えしてます弔い上げについて、三十三回忌が済んでいないけど、どうしても処理をしてしまいたい、ということがあると思います。

本来は良くないことではありますが、近年は待たずして処理することも増えているように感じます。そこで、位牌の永代供養を検討ください。

ご自身の手からは離れて処理することができ、尚且つ、希望する回忌法要までをお寺様で対応頂けるようになっています。

故人様の修行期間をしっかりお寺様に見届けていただき、必要な年数に達した時に弔い上げ、お魂抜き、お焚き上げを実施頂きましょう。

また、お位牌の永代供養は、永代に渡り供養し続けて頂けるようにもなっています。ですから、どこかを区切りに弔い上げをするのではなく、例えば自分が亡くなるまでは現世で供養し続けて頂き、亡くなった際に一緒に弔い上げをしてもらう。そんな方法も良いのではないでしょうか。

お位牌ののご供養方法について、今一度どのようにされたいかを考えて頂ければ幸いです。

位牌のご供養ができる依頼先3選

仏壇の画像

位牌専門の供養会社

これまで見てきましたお位牌に関するご供養、実際にどんなところが対応して頂けるのかを確認していきます。今回は3つに厳選してお話しします。

1つ目は位牌専門の供養会社です。位牌を専門に取り扱う会社さんは、知識が豊富でお位牌について色々教えて頂けます。

「位牌 供養」「位牌 魂抜き」などでネット検索頂ければ、専門会社が出てきますので参考にしてください。

また、実際の店舗を構えてやっているところは非常に少なく、今はインターネットの時代ですから、ネットで完結することになるでしょう。

合わせて、位牌の販売会社は別のカテゴリーになりますのでご注意ください。販売会社は、基本的にメーカーから仕入れて販売しているところが多く、位牌の商品知識は豊富ですが供養の知識は乏しいことがよくあります。

お寺さま

2つ目はお寺さまに直接依頼する方法です。お寺さまとの繋がりがある方にとっては1番安心できる方法かもしれません。お寺さまなりの解釈の違いはありますが、しっかりご供養いただけることでしょう。

きっちりしていただける分、お布施が一般相場よりも高いと言われています。お財布事情と相談のうえ、決められてはいかがでょうか。

一方、お寺さまとの繋がりがない方にとっては少しハードルが高い方法となっています。大抵のお寺さまは、檀家さんでない方の対応を断られるケースが多く、直接の依頼は難しいようです。

その場合は、無理せず他の方法を考えましょう!

仏壇屋、仏具屋

最後は仏壇屋、仏具屋に相談するです。ここでお話ししている仏壇屋、仏具屋とは、昔からお店を構えていところ限定になります。

昔からお店があるところは、お寺さまとの関わりが古くからあり、豊富な知識を持たれている店主が多くいらっしゃいます。ですから、こちらの相談に対して具体的なアドバイスを頂けることでしょう。

ただし、1つ注意が必要となります。古くから構えているお店の方達は、知識が豊富な分、その考え方に偏りがあり、こちらの意見を汲み取って貰えない場合がございます。

個人的な感想になりますが、一言で言えば、頑固な方が多い印象を持っています。そのため、しっかり意見を聞いてくれる方を探しましょう!

以上が位牌供養を依頼する先の3つとなります。ご自身に合った依頼先を選びましょう。そして、自分がどうしたいのかをある程度明確にし、知識武装をしてお話しされるのがいいでしょう。

仏壇じまいから位牌供養までの一連の流れ

金仏壇の画像

依頼先を決める

位牌供養について一通りご確認頂いところで、最後の章に参りましょう。この章では一連の流れのお話しになります。

仏壇じまいを進めるとなった際、1番始めにしなくてはいけないことは、家族や親族の了承が得られているかの確認になります。

私の経験上、仏壇や位牌を閉じることを気に関係が悪化するケースが多々見られましたので、しっかり意見に相違がないか。確認したうえで進めてください。

確認ができたら、仏壇じまいをしてくれる会社やお寺さまに依頼しましょう。難しく考える必要はなく、評判や口コミの良い会社やお寺さまに依頼されるのが良いでしょう。

合わせて、お位牌をどうされるかも決めなくてはいけません。そこでお位牌のそれぞれが何回忌まで済んでいるのかを調べておきましょう。大抵は、亡くなられた年数からどれだけ経過しているかが判断材料となります。

しかし、それだけでは実際に回忌法要をしているかどうかまでは分かりません。お仏壇やお位牌を見られていた家族や親族の方に聞いてみましょう。

もし分からない場合は、その旨を依頼先に伝えられれば適切な供養方法を案内してくれるはずです。

お位牌の供養の依頼先については、仏壇じまいを依頼する先に一緒にご依頼されてもいいでしょう。会社さんに複数依頼するのは手間もかかって参ります。

改めて大切なことは、ご自身がどうしたいのか、そしてご先祖さまに対してお気持ちをどう示されるのか、になります。

依頼先が決まりましたら次のステップに進みましょう!

仏壇と位牌のそれぞれの供養をしてもらう

依頼しましたらご供養を執り行って頂きます。現在、主流となっていますのは、お寺さまがお家に来られてご供養頂くスタイルではありません。お仏壇やお位牌を回収してもらい、依頼先が所有している供養場にてご供養頂くスタイルになります。

お寺さまが来られない分、気を遣わずに気軽にお仏壇じまい、位牌供養をして頂けますがどこか寂しい感覚が残るのは私だけでしょうか。

やはり本来はお寺さまがお家に来られて、最後を一緒に見届けるのが望ましいのではないかと個人的には考えています。

実際にお寺さまがお家に来られた方が、色々なお話しを聞かせて頂けるのも、お勧めする一つの理由です。

ご先祖様から続くものを最後まで大切に扱うよう心掛けて頂ければ嬉しい限りです。

適切な方法で処分する

ご供養が終わりましたらお仏壇やお位牌は処分されてしまうわけですが、ココで大切なことがあります。

処分をどんな方法でされるのかは絶対に確認しましょう!表向きはきっちりしてそうな会社さんであっても、引き取った後の処分の方法は見えない部分なので適当にしている可能性があります。

処分の正しい方法はお仏壇もお位牌も焚き上げとなります。焚き上げをしてもらえるのか、それはどこでいつ頃してもらえるのかの2点は確認必須となります。

この質問に対して曖昧に濁される会社さんは、本当に正しい供養をして頂けているのかと疑問に思って問題ないでしょう。

また、稀に焚き上げ自体が基本料金ではなく、オプションになっている場合があります。その場合は通常どのように処分するのかを確認したうえで、オプション料金を聞き、お財布事情と相談くださいませ。

お位牌の取り扱いには十分注意しましょう

位牌の画像

いかがだったでしょうか。お位牌の取り扱い方は、業界の方であっても案外ご存知ない場合があります。

本記事をお読み頂いた皆様は、正式なご供養方法を知ったわけですから、ある意味ブラックボックス化しているご供養について、しっかり知識武装をして望みましょう!お読み頂きありがとうございました!

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